趣味で最も重要な事

2019年4月15日 [ CAT 仏像彫刻周辺の話] [要素:]

仏像彫刻をやってみたいけど、「絵心がないから」とか「そんなに上手くはできないから」やらないという理由をしばしば聞きます。その他、「自分には仏像を彫る資格がない」というのも。

一度やってみればいいのにー。その好奇心がもったいない。

絵心は関係ありません。絵は平面、彫刻は立体。しかも自分で作図するわけじゃないから。仏像彫刻はただひたすら基本の作り方と下図に忠実に作っていくのみ。反復練習して経験を積むことが唯一の上達法です。
地蔵菩薩下絵

それに、趣味なのに上手くないといけないんでしょうか。仕事で作るのであれば精神的・技術的に一定レベルが必要なのは当然ですが、好きでやっているだけの趣味にその考え方はそぐわないと思うのです。例えば趣味でテニスを始めたからって「錦織選手みたいなプレーができない」という理由で止めたりしないでしょう?

歴代仏師のレベルを目指すのであればプロに弟子入りすればよし。でも趣味ならば、他者と比較して優劣を決める必要はありません。それをする人は多分、続かないと思います。やればやるほど辛くなっちゃうから。

そして仏像というのはありがたいことに、趣味で彫っているだけでも自分の中にあるドロドロを清めてくれます。しかも像の中には残りません。だって仏さまだもん。仏は穢(けが)れません。心がぐしゃぐしゃな時ほど本当は彫った方がいい(でも実際はそういう時って彫れないものだけど)。覚りを開いた聖人君子は仏像を彫る必要なし。また彫る人に仏への信仰心なんかなくても仏さんは彫ることを喜んでくれると思います。
母の白衣観音

ま、趣味なんて自分がやりたい事だけやればいいんです。基礎は飛ばす、と思うならそうすればいい。だってその人の趣味だから。好きなことだけやればいい。やってみて「やはり基礎技術が必要」と思ったら練習すればいいのでは。生活に関しては「好きな事だけ」なんてできないけれど、趣味だからこそ「好きな事だけ」できるのです。

一番重要なのは、面白がる心だと思います。上手く作る事ではありません。上手くいかなくて頭を抱えている時ですら悩んで落ち込んでいる自分を面白がってみる、そんな心意気。私なんて最初の3年程は仏像に対して面白がることはあまり無く、仏像彫刻仲間といるのが面白くて続けていただけ。今は彫ることも面白いですが。そんな面白がり方もあったっていいでしょ?

やってみて、続けるかどうかはその後考えればいいと思うのです。やってみて満足したらまた別の事をすればいいし。やってみる、ということをせずにいつまでも気持ちを引きずる方がずっと問題。

皆さんもやってみたいことがあればとりあえず、試した方がいいですよ。芽吹きの春だしね。何か始めませんか。

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