期限なし
先日書いた聖観音の衣の話。私は聖観音を作るとしたらずっと先だろうと思いますから直接関係はないですが、同じ観音菩薩でもあるし仏像として勉強にもなり、中身も面白くて、ふむふむと聞きました。
家に帰ってふと制作中の白衣観音(2体目)を見れば何と!衣に同じ形があるじゃないですか。それも2ヶ所も。思わず「これ、知ってる」とつぶやきました(笑い)。1体目はよく分からないまま適当にごまかしたわけですが、先日の説明を聞いた後だとどこを注意すればよいか前より見当が付きます。
いやー、人の話は聞くものですね。今の自分にはほど遠い高等技術の話だと思ったとしても、やっぱり聞くものです。…としみじみ思ったのでした。今必要でなくとも長い年月の後、いつかどこかで思い浮かぶかもしれません。
そういえば仏像彫刻を始めたばかりの頃に聞いた話が今になってやっと、技術的に追いついてきた感じです。あの頃はベテランさんのアドバイスを「へえー」と自分からは遠くに聞いておりました(^^;
先生が以前、こんなことをおっしゃいました。
「良い作品はしっかり見て、好きだと思える物があれば心に焼き付けておきなさい。いつかこういう物を作るのだと片隅にであっても置いておけば必ずその“いつか”に引き出してくることができますから」
見るも聞くも同じことだろうと思います。
心の引き出しへ大事にしまった思いの保管期限は、永遠。