写真からイメージを映し込む

今ここにいない誰か・大切な者のために、仏さまを持ちたい。そんな場合もあると思います。

先日いただいたオーダーメイドのご注文はそんな用途でした。写真も見せていただきまして、私がその写真から感じたのは明るく強い生命力と愛らしさと気品。

写真を見たからと言って作品の作りを変えるわけではありません。が、出来上がった作品を見てご注文者様は上記と同じことを感じたそうです。ということは、写真のイメージをしっかり作品に反映できたのかなと。ホッとしました。
写真を基に制作

別に写真を見ても、それが何者でどんな関係で何を願うのかなんて気にしませんのでご安心を。それは必要ない情報なのです。「この人(この子)のために持ちたい」の一言で十分です。私はただただ写真から受け取ったイメージを頭の片隅に置いて静かに彫るだけ。余分な意識が入り込まないように、心静かに。何も意図することなく。私の意図が入り込んだらもうそれは「仏」ではないと思うから。

そして制作が終われば送っていただいた写真は削除します。お客さんの手に渡ったらそれはもう私を離れてお客さんの仏さまだから、気持ちも手放します。

もちろん写真がなくてもいいのですよ。でも、あってもいいという話。こういう機会を与えてもらえる私は、とても幸せです。

仏像がつり目なのにも理由がある

2017年6月2日 [ 小地蔵さん] [ ]

仏像の目はつり目です。目尻がしっかり上がっています。そういうものなのだろう、くらいにしか考えたことはなかったのですが、先生が理由を説明してくれました。
地蔵菩薩下絵

目の形というのは見る位置により違って見えます。仏像は通常、高い位置から人を見下ろすもの。最初から普通の目に作ってあると、人が下から見たらひどくたれ目になってしまって締まりがない顔になってしまうから。そういうわけで、見上げた状態でちょうどよい程度に目尻を上げてあるのだそうです。

ここで言う仏像はお寺にあるような大きい物だろうと思います。人が仰ぎ見る存在。そこで積み重ねられたルールや工夫が家庭用の小さな物にも適用されているのですね。だから状況により角度など調整されることもあるようです。

小地蔵さんも少しつり目になっています。これは仏像の上まぶたの形を真似ているからですが(その形に込めた思いはこちら)、小地蔵さんを見る高さによって確かに目の形が変わっていきます。なかなか面白いですよ。

見る角度により目の形が変わる

同一作品を上、正面、下の位置で撮影

金襴(きんらん)

2016年7月26日 [ こまりちゃん] [ ]

仏像彫刻仲間をきっかけに始まった小毬ちゃんの座布団。硬くてほつれやすいけれども華やかで美しい布です。
金襴

最初はこの布って何だろうと思っていたのだけど、金襴という帯地でした。♪金襴緞子(きんらんどんす)の帯締めながら花嫁御寮(ごりょう)は何故泣くのだろ♪と「花嫁人形」で歌われたのはこの布だったのですね。

Oriet Kyotoさんの金襴は品のある美しい柄が揃っています。天先案内人の活動を始めなければ扱うこともなかったであろう布地をこうして眺めることができ、布(を眺めるのが)好きな私としてはとても幸せです(笑い)。

お焚き上げ

2016年3月21日 [ 雑記] [ ]

お役目の終わった仏さまや、どうにも納得いくものにできなかった作品の端くれたちを焚き上げて灰を大地に還しました。感謝を込めながら。
お焚き上げ

ここのところ、公私共に色々あり心がざわついて落ち着かない時間を過ごしていました。そういう状態の時は人様に持ってもらう仏像は彫れないので(できる限り透明な状態で彫りたいのです)、試作品を作ったり趣味の仏像の台座を彫ったりしていました。ここまで揺れることってそうそう無いのですけどね…。

が、それも気持ちの切り替えができそうです。仏さまを焚き上げるのと一緒に私の雑念も浄化してもらえたように感じます。

お彼岸を新しい日々の始まりとして、また進んでいきましょう。

(注意)少量であっても焚き付け材を組んで仏さまをきれいに燃やしてしまうには薪をくべる技術が必要です。住宅街だと煙の問題も発生します。やったことのない方は無理せず神社等に奉納してください。

残留決定

2015年12月24日 [ 小地蔵さん] [ ]

合掌した携帯用小地蔵さんを作っていて、あとは頭をつるつるに仕上げるだけ!というところまで来て気付きました。

頭に割れが入ってる…。しかも2か所も。これは…収めてやるべきか?いやでも顔がすごく好みにできたし、ここまで手間暇かけて完成間近なのに燃やすのもなぁ。携帯用は小さいのと台座がくっついていて作業しにくいのとで、標準型と台座を別々に作るより大変なのです。

結果、見本として家に残ることとなりました。今後は節のある標準型小地蔵さんと一緒に「実物を見たい」という方のお目にかかることでしょう。

残留小地蔵さんズ

ワケありな方たち

実はこういう、作りかけては収める箱行きになった小地蔵さんが数体あります。こういうのって、特に完成間近まで引っ張ってしまった物は工業製品で言うと「歩留まりを著しく下げる」ことになるのですよね。産業的にはいわば「無駄」「非効率的」。歩留まりが下がると値段が上がる(売れなくなる)、または利益率が下がるから工場では歩留まりを上げることに留意しています。私は昔、製造業におりまして。日本の生産ラインって世界で一番優秀だと思います。人も機械も。

それはさておき、気付くなら角材の段階で気付かないといけない。もっと言えば角材を切り出す段階ではじかないといけないのでしょう。気を付けていたつもりだけど気付きませんでした。でもまあ、経験を積んでいけば良くなるかな、なんて。

こういう失敗があっても小地蔵さんに市販の彫刻材を使おうとは思いません。だって大井川ひのきはとても良い材だし、それを新たに消費することなく残った端っこを使い切ることができるのは小さな小地蔵さんならではのメリット。あ、趣味の仏像彫刻では市販材を使ってますよ。そっちはもっと大きいから。使うのはB級品ですけどね。

以上、端材のリサイクルならではの失敗でした。というわけで今月は携帯用合掌は間に合わないため、来月からの販売となります。